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日常の注意点

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日常生活に影響を及ぼすPNH

発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria;以下PNH)は溶血(赤血球に含まれるヘモグロビンが血液中に漏れ出てしまう)によって貧血症状に加え疲労、嚥下障害、呼吸困難、腹痛、男性機能障害など様々な症状がみられます。これらの症状は日常生活に影響を与え、患者さんのQOL(生活の質)の低下につながります。

PNHに特化した医学雑誌によるアンケート()でも、PNHを発症した後生活にどの程度影響があったか国内の患者さんに尋ねていて、「かなり影響があった」と回答した割合が各項目(「家事や日常生活」、「趣味・レジャー」、「ご自身の精神面、心理面」)で半数以上に上りました1)

アンケートは医学雑誌「PNH Frontier」編集部が、PNH診療における医師と患者さんの認識のギャップを把握し、よりよい診療の一助となることを目的に実施1)。患者さんは対象91名のうち、64名が回答しました1)

日常の注意点
日常の注意点

様々な症状の中で疲労は最もよくみられる症状で、患者さんの96%に認められたとの報告があります2)。また、治療を受けていても疲労に悩まされ、患者さんのQOLに影響を与えているケースがあります3)

溶血を悪化させる要因を把握しよう

日常の注意点

患者さんに起こる溶血は慢性で、1日を通して起こっています4)。特に溶血発作(急激に溶血が起きて、輸血や入院が必要になったりする状態)を招く要因として、ストレスや感染症、生理、妊娠・出産、外科手術、激しい活動、過度のアルコール摂取などが考えられます5,6)
PNHと診断されている場合は、溶血を悪化させる要因を把握し、できるだけ感染症の予防やストレスを溜め込まない生活を心掛けてください。

溶血発作が起きているときは、眼に見えるヘモグロビン尿(コーラの様な色をした尿)を認めることがあります。排尿時は尿の色が変化していないか注意してください。

妊娠や出産、外科手術について

日常の注意点

妊娠・出産はPNHの患者さんにとって、溶血発作や血栓症、分娩時の大量出血など重篤な合併症を引き起こす可能性があり、ハイリスクとされています。ただ、絶対にダメというわけではないため、リスクがあることを認識した上で、主治医とよく相談してみてください。また、妊娠が判明した場合はすぐ主治医に連絡しましょう。ちなみに、PNHは後天性の疾患ですのでお子さんに遺伝することはありません。

また、外科手術も溶血発作を引き起こすおそれがあり7)、肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症を合併するリスクがあります。外科手術が必要な状況であれば、PNHの担当医とよく相談の上進めていきましょう。

1)「PNH Frontier」編集委員会編.PNH(発作性夜間ヘモグロビン尿症)に関するアンケート.PNH Frontier.2016,No.6,p52-58
2)Meyers G, et al. Blood. 2007;110: Abstract 3683.
3)Dingli D,et al. Ann Hematol. 2022 ;101(2):251-263.
4)Parker C.J. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2016(1):208–216.
5)Brodsky RA.Blood.2014;124(18):2804-2811.
6)Pu JJ,Brodsky RA.Clin Transl Sci. 2011;4(3):219-224.
7)Roth A, Duhrsen U.Eur J Haematol.2011;87(6):473-479.

監修医師:西村純一 先生

監修医師

西村純一 先生

大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 招聘教授

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